小林伸二監督退任に寄せて

すでに来季はモンテディオ山形はJ2で戦うことが決まっている。
残念なことではあるが、その事実は事実として受け入れ、むしろ今の時期から来季に向けて動き出すことができると前向きにとらえるべきである。
特に、J2降格が決まった試合後のインタヴューで監督が辞意をほのめかした以上、来季の体制については早急に固めていかねばなるまい。
いつまでも来季のことがはっきりしないようでは、選手にも影響が出ようというもの。


選手や監督というのは、成し遂げた結果によって評価されるべきである。
今季、7位という目標を掲げ、それを達することができず、あまつさえ、降格という受け入れ難い事態を招いたのだから、なにがしかの弁明があろうとも、責任を負う必用がある。
他の下位チームが監督を途中で解任し、新たな人物を迎え建て直しを図る中、それでも解任されることなく、建て直すことを任された以上、尚更のことである。
シーズン始めに清水選手では植草選手を起用したのは間違いだったのではないか。
選手を叱責するのみで具体的な対策を実らせることができず、約束事で縛り、萎縮させたのではないか。
クラブとしては、新たな監督を迎えるべきである。


今日、小林伸二監督がモンテディオ山形と来季の契約を結ばないことが発表された。


当然のことである。


昨日、練習見学に行ってきた。
全体練習が終わった後、攻撃陣の何人かが居残り。
それを見守っていた小林伸二監督。
船山選手のシュートを見て
「どっちを狙ったの?」
から入り、軸足を置く位置をもう少し前にしたほうが良いのではないかと、ついつい指導をしていた。
ええ。いつも見せてくれる、あのエアーな動きで。
最後まで練習場に残り、それを待っている報道の皆様の質問に、あの通りの熱が入った受け応えをしていた。
それを終えて第三から退出。
降格が決まってから初めてであり、伝えたいことはいろいろとあるのだけれども、こういう時にどういうべきなのかわからず、そもそも、あまり選手や監督に話すこともないのだから、さてどうしたものかと思っていた。
面と向かったら、すんなりと「来年もよろしくお願いします。」と口をついた。
ビミョーな表情をされてしまった。


覚悟はした。
そのつもりだっただけで、全然、覚悟なんかできていなかったようだ。
というわけで、以下、書き散らす。まとまらない。まとまるわけがない。


サッカーを少し離れれば、照れたような、人なつこい、田舎のおっさん的リアクション。
昨日もRushの米袋担ぎ写真にサインを頼まれ、「何この写真、ひどい」「似合ってるんじゃないの」というようなことを言っていた。


サッカーのことを話し始めると止まらない人のようだった。
微に入り細に入り説明して、J's Goal で、「後ほど追記します。」が慣用句になっていた。


試合中に見ているのが楽しかった。
エア天童ルーレットに代表されるアクション。
ウチのボールだと、副審に対しても大いにアピール。
試合中の野次をも吹き飛ばすような野太い声。「マサルー、マサルー。」。


体の使い方、面し方に対する細かい示唆。
出し手のルックアップと受け手の動き出しのタイミング。
試合翌日のジョグで、ミスあるいは大チョンボをした選手との並走。
選手が成長するところを見るのが楽しかった。


何よりも、憧れのJ1に連れてきてもらった。
手が届きそうに見えても遠かったJ1。
札幌、京都、横浜FCなどが跳ね返され、前代未聞の成績で降格することになろうとも、それでも行きたかったJ1。
それを昇格したばかりか、1年後には海保さんに「ざまあみやがれってんだ。ざまあみやがれってんだ。」と言わせることもできた。


映像などで後頭部を見る度に、ここまで苦労させたことが申し訳なかった。
テレビなどのインタヴューで「吾唯知足」と色紙に書くところを見て、ありがたく思うとともに、いつの日かこの言葉を使わなくてもすむようにモンテディオ山形を盛り上げたいと思ったのだが、果たせなかった。


感謝しかなく、それに応えるにはどうすべきかと考えるのだが、さてどうしたものか。
何しろ海保さんにも恩返しできているとは、とても言えないような状況だし。


まずは、今季、リーグ戦はあと3試合、うちホームでは2試合ある。
天皇杯は16日にあるし、その後、勝ち進めさえすれば、元旦まで行くことだって可能である。
しっかりと目に焼きつけたいと思う。
一日でも長く、指揮する姿を見ていたい。
またいつか、小林伸二監督をモンテディオ山形に迎え入れる日を夢みたいと思う。